どうも、くす太です。
不思議な力を持つモモと、時間を奪って生きている時間泥棒こと灰色の男たちとの戦いを描き、時間とは何なのかについて書かれている、
ミヒャエル・エンデさんの著書「モモ」
を読みました。
これまでに本書の書評を3記事ほど書きましたが、読み進める中で気付きというか学びというか、これは面白いなという部分が多くある物語で、何記事にも渡って書評を書いています。
今回の記事では
モモの不思議な力を無効化する為にとった灰色の男たちの方法
について書いていきます。
モモが灰色の男と初対決した後
灰色の男たちは集会を開きます。
モモの不思議な力に惑わされ、灰色の男たちの真実をついモモに話してしまった灰色の男に、細かな状況や情報を聞きとる為です。
灰色の男たちにとってモモが驚異であることは明白の事実。
モモをどうにかしようと考え、恐ろしい行動に出ます。
行動の一部始終については恐ろしさもありますが、ファンタジーな素敵さも合わさった展開を魅せます。
モモを無効化する為にとった灰色の男たちの行動
灰色の男たちは大胆な行動をとりますが、なぜか上手くいかず。
そこで、灰色の男たちは別の行動を起こします。
別の行動ですが、現実世界においてもこの方法は効果があると思います。
灰色の男たちの行動。
それは、モモ自身ではなく、周囲の人たちに働きかけ、モモに関わる人をいなくさせてしまうことです。
モモがいかに不思議な力を行使しようとしても、この不思議な力はモモに作用するのではなく、モモ以外の周りの人たちに影響を及ぼす力なので、モモの不思議な力は灰色の男たちが嫌がる影響は起きず、灰色の男たちの脅威ではなくなります。
これって現実世界でいうところの「いじめ」のような気がします。
本書では「いじめ」というわけではなく、全ての人に対してモモとの接触時間を極端に短くなるように灰色の男たちが操作します。
結果、モモの不思議な力は発揮されず、モモは孤独感にさいなまれ、友だちばかりいた世界から隔絶されたような気持ちになっていきます。
世界から隔絶された状態、孤独な状態、ものすごくしんどい状況です。
誰かと話すことが出来ない。
関わることが出来ない。
読んでいても苦しくなってきます。
モモの友だちはどうなったか
灰色の男たちがどうやってモモを孤独な状態にしたかですが、それはモモに対する力の行使ではなく、友だちたちの時間を奪っていきました。
観光案内人のジジには栄光を与え、道路掃除夫のベッポには脅迫をし、多くの子どもたちには間接的な力の行使として、大人たちの時間を奪い、常識や世間というものを改変し、自由な発想などが出来ない環境を作り上げ、そういうものが世界なんだと洗脳していきました。
読めば読むほど現実世界と似ていて、ミヒャエル・エンデさんの面白さを感じます。
続く
総ページ数が約400ページにも及ぶ本書。
文庫本でこのページ数だから、単行本で考えると、児童書としては凄まじいページ数ではなかろうかといった感じ。
でも、特に長い物語だなぁと感じることはなく、いろいろなエピソードが紡ぎ、灰色の男たちとの戦いからスピード感が溢れる展開を魅せ、ラストには気分良く読み終えることが出来る本書。
しかも、巻末のエピソードトークがこれまた面白い。
ぜひとも読んでください。
では。