どうも、くす太です。
外国の人たちが日本に来た際の宿泊場所の不足を受けて、政府が主導となって普及させることになった民泊。
民泊というものが出来てから、良い面よりも悪い面が際立って報道されていると個人的には感じています。
悪い面というのは民泊業者の杜撰な管理による、民泊の対象となる建物の環境悪化。
具体的には生活マナーやモラルが無視された状態での外国の人たちの宿泊により、ゴミが散乱したり、騒音被害が発生したりなど、社会的にも問題視されています。(国民性の違いというか国や地域によって当然価値観や常識というものが異なります)
そんな民泊ですが、2017年6月に
住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法
が国会で可決承認され、成立することとなり、2018年3月15日に届け出開始、6月15日には施行されることが決定しました。
分譲マンションにおいてもこの民泊は人ごとではなく、事前に検討しておかなければならないことや決定しておかなければならないがあります。
マンション管理会社のフロント担当者として、民泊新法に対する考えや対応策などについて記事にしていきます。
民泊とは
2020年に開催される東京オリンピックに向けて増えるとみられている訪日客、いわゆるインバウンド。
その訪日客が泊まる為の宿泊所が明らかに足りていないことが想定されている現状を、打破することを目的として、空き家の増加が社会問題化していることもあり、一般の住宅を宿泊所として使用する、いわゆる民泊という発想が政府にて構想されました。(上手く説明出来ずにすいません。。)
住宅宿泊事業法(民泊新法)以前は、旅館業法による簡易宿泊所のようなものや国家戦略特別区域に指定された地域の地方自治体が条例を定めて行う特区民泊しかありませんでしたが、分譲マンションではハードルが高く、民泊が行われる可能性は低いといった印象でした。
そういった中で新しく2017年6月に国会承認された住宅宿泊事業法(民泊新法)では、これまで民泊の対象には原則的にならなかった分譲マンションにおいても、民泊の対象とする内容であり、それぞれの分譲マンションの管理組合・理事会にて民泊対応について検討する必要性が出来てきました。
民泊の種類と違い
前述の通り、民泊には3つの種類がありますので、参考になるリンクを張っておきます。
旅館業法に基づく民泊
そもそも宿泊業を行うには旅館業法に基づく許可が必要であり、この旅館業法の許可を得て行う簡易宿泊所が最初ともいうべき民泊となります。
国家戦略特別区域の民泊条例
旅館業法に基づく民泊の次に登場したのが、いわゆる特区民泊です。各市町村の条例により諸条件が異なりますので、特区民泊を行う場合は必ず実施場所の条例をご確認下さい。
住宅宿泊事業法(民泊新法)
新しく出来た民泊新法には、
対象の住宅の家主が
居住するタイプ
不在のタイプ
の2つがあります。
この民泊新法により、これまでは無関係に近かった分譲マンションの人たちもしっかりと審議をしなければならない状態となりました。
新しい制度には必ず良くも悪くもといった側面がある為、これまでマンション管理に無関心であった人たちが少しでも興味を持つことにもなれば、これ幸いといった思いもあります。
「住宅宿泊事業法案」を閣議決定 | 2017年 | 報道発表 | 報道・会見 | 観光庁
分譲マンションの管理組合が検討しておかなければならないこと
住宅宿泊事業(民泊新法)により、分譲マンションにおいても民泊について対応を検討しておかなければならなくなりました。
なぜ対応を検討しておかなければならないかというと、一般的な分譲マンションで制定されている管理規約では、
「専有部分は専ら住宅として使用しなければならない。」
http://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf
と書かれており、民泊新法までの2つの民泊は<住宅>には適用出来ないという考え方がありましたが、民泊新法では<住宅>を宿泊所として使用することが出来るという考え方の法律である為、管理規約を改定しなければ民泊が実施されてしまう可能性がある、ということになります。
民泊に対する是非確認・理事会決議・管理規約改定
前述のような管理規約の場合、民泊新法に基づく民泊は行うことが可能であり、事前届け出制ではありますが、民泊に対する是非の確認の仕方は
民泊が許可されているか?
ではなく、
民泊が禁止されているか?
となる為、禁止が明文化されていない場合は届け出が通過してしまうことになります。
しかしながら、管理規約で禁止を明文化する為には規約改定する必要があり、それには総会決議が必要となります。(総会決議は特別決議[4分の3の賛成]が必要)
通常総会または臨時総会の開催が必要ですが、すぐには開催が困難であることを想定し、管理規約改定の前の対応策として、理事会にて民泊の是非を事前に仮決定することが認められています。
理事会決議の後に総会決議を行い、最終的には管理規約を改定することで民泊への対応が完了ということになります。(総会にて否決された場合は理事会決議が白紙となります)
事前に民泊対応を検討しないと最悪の結末が。。
理事会決議も総会決議もせず、何の判断もしない中で住宅宿泊事業法が施行され、民泊新法に基づく民泊が実施された場合、その後に管理組合として民泊を禁止しようと思ったとしても、すでに事業として民泊を営んでいる区分所有者がいた場合、その区分所有者の意向を無視して管理規約を改定することが出来ないといった事態が想定されています。
この点については事前に理事会・管理組合の人たちは十分に理解した上で、必ず民泊に対する是非を検討・決定していることが重要となりますので、ご注意下さい。
まとめ
これまで民泊を悪いものという目線で禁止という方向性で記事を書いてきましたが、個人的には良いものという面もあると考えています。
長期出張や半年程度は家を空けておくといった方にとっては、民泊を行うことによって宿泊料が収入源になることとなり、立派な資産運用になると考えられます。
一側面だけを見てしまうと悪いものという判断になる民泊ですが、必ずしも悪いだけではなく良い面をもったものであるとも思っています。
しかし、民泊新法への対応を理事会・管理組合で考えずにいた場合、後で覆すことが出来ないことがすでに想定されています。
理事会・管理組合の活動や運営状況について興味を抱いていない人が数多くいると、日々実感しているところではありますが、こういったことを起点に、より多くの方が自分の住まいであり、重要な資産でもあるマンションについて興味を持ち、様々な場面で参加するようになると最高の機会であったと思うことが出来ます。
問題が起きてから苦情を言っても遅いといったことに今回の民泊はなってしまいますので、お住まいの分譲マンションに対して興味のアンテナを立てることをオススメします。
では。
<PS>
民泊に限らず様々なことがグローバル化されており、また人工知能による機械化・自動化が進んでいます。
これまでは考える必要がなかったことに対して新たな考えを持つ必要があり、それに伴って新しい価値観などがこれから生まれてくると思います。
新しいサービスの誕生やこれまでは良いとされていた常識の非常識化など、世界はめまぐるし変化し、日本独自の世界観は薄れていく面とより濃くなっていく面とに分かれ、おのおのがどのように生きていくかを選択しなければなります。
その時に自分は何を選択するのか、はたまた選択することが出来るのか。
何かに縛られずに自由に生きていけるように行動を起こし続けます。