どうも、くす太です。
分譲マンションは、最近では建設棟数が減ってきましたが、それでも2017年時点では建設ラッシュは続いており、かなりの数の新築マンションが今も建てられています。
それぞれのマンションには管理会社が当然のように入っており、管理組合は管理会社と管理委託契約を締結しています。
この管理委託契約に関してですが、
「リプレイス」という、いわゆる管理会社変更
がよく起こるようになっています。
私が勤める管理会社でも、年間に3〜5棟は管理会社変更の検討が話題に挙がり、実際に1〜2棟は管理委託契約の更新が行われず、他の管理会社に変更されるといったことが起きています。
なぜ、このように管理会社変更が起きるようになったのかについて考えてみました。
管理会社とは
分譲においても賃貸においても、マンションには管理会社が入っている場合と自主管理の場合がありますが、本記事では管理会社が入っている場合について書いていきます。
分譲マンションに限った場合、管理会社は共用部分の管理、つまりは状況確認やメンテナンス業務を請け負うことが多く、資産管理や日常的な清掃なども同様となります。
請け負う業務を決めるのが以下に書く、管理委託契約となり、管理会社はこの管理委託契約に基づき業務を行っていきます。
管理委託契約とは
契約にある業務項目としては、
- 清掃業務(日常・定期)
- 点検業務(消防・エレベーター・機械式駐車場など)
- 事務管理業務(資産管理・管理組合と居住者の契約・理事会などの運営支援など)
- 植栽管理業務
- 遠隔機械監視業務
などが挙げられ、全てを委託する必要はなく、一部だけ委託することもあれば、全てを管理会社に、あるいは管理会社には依頼せずに全て自分たちで対応する自主管理という形式もあります。
リプレイス、管理会社変更が検討される理由
分譲マンションでは、以前からもありますが、最近増えたと感じる「リプレイス」つまり管理会社の変更がよく聞かれるようになりました。
管理会社変更が検討される理由、それは一つのことだけが理由ではないと思いますが、一番の原因であると思われるのが、毎月の管理委託料。
管理委託契約に基づき、管理組合から毎月、管理会社に対して管理委託料を支払っているわけですが、この料金は妥当なのかどうかが判断出来ないという理由などから、管理会社との関わりや実際の業務内容などを考慮せずに、単に料金が高いという判断を下しているものと考えられます。
どの業務が安くて、どの業務が高いか。
金額は妥当なのか。
管理会社が関わる範囲や程度は正しいのか。
他の管理会社はどうなのか。
今の管理会社のやっていることは間違っていないのか。
以上のように、工事と同じようなものではありますが、誰もが判断できる基準というものがない、というのが現実的な問題ではあります。
管理会社それぞれで原価も異なる為、安くても業務が回るところもあれば回らない会社もあります。
さらには、管理会社それぞれが同じ管理委託契約の内容であったとしても、実際には違うことが数多くあります。
主に違うところは
フロント担当者、
つまり
管理組合・理事会と直接的に関わる人
が挙げられ、このフロント担当者が行う業務範囲や質は会社によって変わる部分であり、その担当者自身の能力によっても差が生まれる部分となります。
理事会などの会合の議事録の案作成や議事進行の仕方、第三者としての立ち回り方などが会社によって異なり、極端な例としては、会社が同じでも担当者それぞれによってレベルや質は変わってしまいます。
この部分が理事会などの直接的に関わる人たちには知ってもらいやすいですが、それ以外の区分所有者の人たちには知ってもらいにくい、伝わりにくいものとなってしまっており、管理会社がしっかりと対策を考えるべき部分であると感じています。
※自主管理のマンションでは、居住者の高齢化や建物・設備の経年劣化などを理由として、管理会社に委託を始めるところがあります。
その場合は、身近な管理会社1社に絞るか、もしくは複数の管理会社から相見積書を取得して選考するかなどの方法を選択することが多いと思います。
一人一人の区分所有者との接点が少な過ぎる
管理会社の活動というか業務が知ってもらいにくく、伝わりにくい理由。
それは、
一人一人の区分所有者との接点が少な過ぎる
ということが挙げられます。
理事会に参加される役員の方、総会に積極的に参加される方、日常的なところで管理会社を頼りにして頂いている方、などといった方々以外は管理会社の人間との接点がほとんどありません。
これまでの管理会社の意識としては、おそらくは
なるべくなら関わりたくない
といった本心があったように感じます。
多くの居住者と会ってしまうことが指摘される可能性高まり、管理会社や担当者によっては自分のいい加減さ露呈しまうことを恐れて距離を意識的に置いていることも考えられます。
管理会社の営業時間も日中である為、共働きが増えた現代では、より一層接点がなくなっているというのが現状です。
接点が少ない中で、必然的に接点を持つタイミングがありますが、それはマイナスからの発進です。
具体的には、生活する上で発生する不便なこと。
漏水であったり、機器の故障であったり、所有物の破損であったり。
こういったことが発生すると、ほとんどの方が管理会社に連絡を入れるわけですが、この時点ですでに連絡をしている人にとってはマイナスからのスタートとなっています。
しかも、管理会社は対応して当たり前と思っている為、それが共用部分の問題でなくても、怒りやストレスをぶつけてくることになります。
正しく対応するだけでは当たり前といった認識は変わらず、過剰すぎるほどの対応をしても、全くの無反応ということも少なくありません。
接点がない為に、管理会社の存在意義や役割を誤解し、接点があったとしても認識の誤りを正さずに、自己解釈のみをしている方が多くいます。
この接点の少なさというのが、管理会社と管理組合、ひいては各区分所有者との関係づくりを阻害している根本となっています。
改善策はあるのか
接点の少なさを改善する策があるのかというの重要となりますが、私は、改善策はあると考えています。
リプレイス(管理会社変更)の検討が起こる理由は、管理会社の存在意義などが不明だから、不明な原因は接点の少なさにあることまでは分かっています。
では、どうするか。
単純な話ですが、
接点を増やすこと
が改善策となり、さらには強固な関係づくりが可能となり、この先には共用部分の管理という業務だけでなく、各区分所有者の専有部分についても業務になり得る可能性を秘めています。
接点をどう増やすかですが、これも単純な話ではありますが、今まで敬遠していた管理組合への関わりに対する呼びかけを強化することが考えられます。
短期間で解決する方法ではありませんが、地道な声かけを忘れることなく続けていくことで、総会への出席増えれば接点は増えますし、そこからは、コミュティ不足が叫ばれる世の中への対応として、総会後に交流会を開くなど、イベンターに近い役割をこなすことで、管理組合という独自コミュニティに管理会社が根付く可能性があります。
コミュニティに入り込むことで、切っても切れない関係性を作り、誠実な対応を取り続けることで、管理委託契約が継続されるといった状態を作ることが出来ます。
改善策の結論
- 接点を増やすこと。
- 理事会や総会での呼びかけ。
- マンション現地に足を運んで、何気ない日常の中で存在感を持つこと。
- 関係性が出来てくれば、次のステップとして、専有部分についても関わりを持つ。
ここまで来れば、安心した管理組合運営が実現し、相互に実りある管理委託契約が続くことになります。
まずは、各区分所有者との関わりを敬遠することなく、どんどんイニシアチブを取って積極的に関わっていくことを始めていきましょう。
では。
<PS>
竣工当初は参加率が非常に高い通常総会も、年数が経過すると著しく参加率が低下してしまう管理組合が多くあるように感じます。
こういった管理組合では、管理に対して関心が低い反面、問題が少しでも発生すると過剰な反応を見せることが多いというのが現実の問題としてあります。
管理への関心が高いままであれば、状況もまた違ったものになると感じている為、積極的な関係づくりを意識して行動している日々です。