どうも、くす太です。
どちらかといえばご飯派である私ですが、特に朝食では本書のタイトルにある”パン”を食べることが多く、本書を見かけた時に
「腐る経済??腐らないではなく?!」
と感じ、単純に腐ることは良くないことと思っている為、興味を抱いて本書を手に取りました。
読み進める中で、著者である渡邉さんが考えていること、実践していることなどを知っていくうちに、この人が作るパンを食べてみたい、直接お店を見てみたいという思いにさせられました。
そんな本書、
『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』
をご紹介します。
本書の概要
著者は渡邉 格(わたなべ いたる)さん。(1971年生まれ)
渡邉さんは、岡山県真庭市勝山にある<パン屋 タルマーリー>を営まれており、徹底した自然から作りだされる材料でパンを作っている方です。
販売しているパンは徹底したこだわりを持って作り出しており、天然菌と自然栽培の素材・天然水を用いて、本当の自然からパンを生みだしています。
紆余曲折を経て31歳の時にパン職人を志し、いくつかの店舗で修業を積んでいく中で、自分が目指すべきパンの方向を見つけ、そこから現在に至って追及し続けています。
パン作りに限ったことではなく、現代経済である資本主義経済の異常さ、自然とかけ離れた矛盾経済(腐らない経済)に対して、経済も自然の流れの中で発展・循環していくべきであると考え、その考えを物作りの立場として実践していっており、これまでの歩みや気付き、考え方について本書で語っています。
訪れたくさせるパン屋さん・街
渡邉さん一家が住み、営んでいるパン屋さん、岡山県真庭市勝山にある<パン屋 タルマーリー>は元々古民家であり、自然溢れる勝山で営業展開されています。
店名の由来は、著者と著者の奥様の名前からきているそうです。
このお店があるところは、街全体が物作りの集まりであるという印象を抱かせ、実際にも集まっており、一度は訪れたくなるような紹介がされています。
販売されているパンも、徹底的に自然から作り出されており、酒種パンという名前で魅力溢れるパワーが本書からも伝わってきます。
本書はこういう人にオススメ
生粋の、本格的な物作りを目指す人になんといってもオススメの本書。
現代経済である資本主義経済の異常な流れから逃れる為には、自分自身が商品を作り出す側になることで、ただただ安さを追及したり、必要以上の利潤を生みだそうとしたりする流れから脱却し、本来必要である商品に対する値段、受け取るべき対価を得ることに近付き、正常の経済の中で生きていくことが出来ると本書では語られています。
自分の手で物を作り出して生計を立てていきたいと考えている人には、ぜひとも目指して頂き、本物の職人となり、本物の商品を生み出してもらいと思います。
腐る経済の問題点
自然の摂理に反さない経済の流れを「パン屋 タルマーリー」から発信・展開されており、お店のある勝山からそれを実現していかれていますが、一つ問題点があると感じました。
それは、本書を読んだ方や酒種パンに魅かれた方、勝山の街並み、他のお店たちなどが注目を浴び続けていき、この街一帯が発展し、どんどん脚光を浴びていくことで、この街が商売になると踏んだ大企業や資本家が莫大なお金をかけて乗り込んできた時に、これまでの努力を蹂躙されてしまう可能性があるのではないかと思いました。
ある一定のレベルで経済の拡大・発展が止まり、循環し続ければいいと思いますが、適切なレベルというのが判断出来かねるものと思いますので、少なくとも今ある自然が損なわれなければと切に思っています。
まとめ
不景気になって好転する兆しが見えずに進み続けている日本経済。
最低最悪の就労環境で社員の生命をも蝕んでいくブラック企業 。
今後も日本社会は変わることなく、ブラック企業は存在し続けるとは思いますが、そんな中でも本物を目指し、信念がブレることなく突き進むことで、手にすることが出来るものがあるのだと、本書を読んで感じました。
自分自身は物作りとして生きていく考えはありませんが(創作能力もないですが)、今ある・今出来ることを自分の確実な力にすることで、自然の摂理に反した経済の中で潰れないようにしていけると思います。
また、本書の著者である渡邉さん、パン屋タルマーリー、勝山という街にはぜひとも会ってみたい・行ってみたいと思いますので、いつの日かといった感じです。
では。
<PS>
本書の中で描かれている自然の摂理に反した資本主義経済。
ただただ利潤を追求していくうちに、不自然で満たされてしまっている現代。
人間は自然を破壊してきた存在ではありますが、生物でもある人間には自然は当然に必要なものであると思います。
本書の著者である渡邉さんのような考え方の方が増えていくことで、日本も、世界も変わるのではないかと期待したい思いです。