どうも、くす太です。
分譲マンションには基本的に駐車場が敷地内に設けられています。(立地や土地面積、戸数などによっては設けられていない場合もあります。)
その駐車場に関してですが、種類がいくつかあり、自走式や機械式などあります。
その中でも、この記事では
"機械式駐車場"(公社)立体駐車場工業会のホームページ
について、担当しているマンションで実際に起こったことも交えながら記事にします。
1.駐車場の種類
・平面駐車場...
いわゆる青空駐車場が一般的。
青空駐車場以外には屋根付きや専用のボックスになっているガレージもあります。
青空駐車場は普通の敷地をラインやテープで区画割し、各区画に1台駐車する駐車場です。
・自走式駐車場...
立体式になっているものが多く、駐車場としての建物があり、駐車区画はラインやテープで区画割されており、対象の駐車区画までは自ら自動車を運転して移動します。
この自走式立体駐車場は、大型ショッピングモールなどでよく見かけます。
マンションでは、大型マンションであり、且つ敷地が広くないと建てることが出来ません。
・タワー式駐車場...
駐車場としての建物としては自走式立体駐車場と同じですが、縦方向にスペースを設けて車両を駐車していきます。
タワー式は敷地があまり広くない場合に採用されることが多く、入庫はさほどですが、出庫時に時間を要することがあります。
・機械式駐車場...
地下部分を掘削し、駐車パレットを上段と下段に設置するタイプや横行式、上中下の3段パレットのタイプがあります。
マンションで敷地があまり広くなく、平面駐車場では台数を確保出来ない場合に採用されていることが多い駐車場です。
2.機械式駐車場の維持
様々な部品が使用されている機械式駐車場。
機械である為、定期的なメンテナンスが必須となります。(部品の調整やチェーンなどの金属に注油する、など)
このメンテナンスは誰にでも出来るものでもなく、責任も生じる為、 点検業者に依頼することになります。
点検業者には2種類あり、設備自体を製造しているメーカーの子会社であるメーカーメンテナンス会社、もう一つは独立系メンテナンス会社。
独立系メンテナンス会社はメーカーなどに属していない為、様々なメーカーの設備を点検することが出来ます。
3.機械式駐車場の修繕
維持については2で説明しましたが、当然、機械式駐車場には維持だけではなく修繕が必要になります。
修繕の対象となるものは、柱やパレット・チェーンなどの部品類と、モーターや制御盤などの電気的な部品類となります。
柱やパレットなどについては"目視"で劣化具合が判別出来るものと出来ないものがあります。
例としては、チェーンなどは維持メンテナンス時に注油などはしますが、鉄材の内部の劣化具合などが目視では判別出来ません。
また、電気的な部品類については目視で劣化具合を判別するのは基本的には不可能となります。埃がついていたり、部品が錆びていたりなどは分かりますが、機械製品である為、ほとんどが分かりません。
いずれの種類の部品についてもですが、不具合が発生すると基本的には機械式駐車場が使用出来なくなってしまいます。
不具合自体も突然発生することがほとんどですので、定期的な部品交換が望まれます。
しかしながら、部品は様々な種類があり、尚且つ数も多い為、予防保全で行う部品交換工事は高額なものとなります。
2で説明をした点検業者ですが、2種類の会社とも、メーカーから部品を取り寄せて工事を行うことになります。(在庫などがない場合は、現場に合う部品を製作する、もしくは似た形状の部品を代替品として使用します。)
4.実際に起こりうる事故や被害
一番大きな事故としては、これまでに何件も発生していますが、設備が動いている時に挟まれてしまう事故です。亡くなってしまう場合もあります。
また、機械式駐車場は堀込みの地下ピットになっていることが多い為、地下部分に落ちてしまう事故もあります。
この地下部分には、雨水などが流れ込んだり、湧水があったりした場合の対策として排水ポンプが設置されています。
しかしながら、昨今発生している集中豪雨・ゲリラ豪雨では、想定以上の雨が長時間降り注いでしまう為、排水ポンプの限界容量を超えてしまい、さらに道路の排水能力の超過により道路の雨水も流れ込んでしまうことにより、地下ピットが冠水し、駐車車両が浸水被害に遭ってしまうことがあります。
※実際に担当物件でありました。完全に水没してしまっていました。
冠水・水没被害が発生した場合、駐車車両の被害だけではなく、電気設備である機械式駐車場全体が故障することになります。
ほとんどの電気的な部品類が水没することで使用不可・故障してしまう為、高額な部品交換工事が必要となります。
5.くす太の結論
機械式駐車場のある分譲マンションはお勧め出来ません。
理由はこれまでに述べましたが、
- 維持費がかかります。
- 快適に使用し続ける場合は定期的な予防保全としての工事が必要です。(高額工事になります。)
- 正しい利用をしない場合、大事故が起こります。
- 地下ピットがある場合、集中豪雨により駐車車両・機械式駐車場全体が水没被害に遭う可能性があります。
- 使用料が適正でない場合、管理組合収支が合わずにマイナス収支の要因になります。
などが挙げられます。
機械式駐車場の専用使用権や所有権などを分譲している場合は、さらにお勧めすることが出来ません。
管理組合が所有し、賃貸している場合よりも収入が少ないことが多いからです。(分譲時に購入する代金が必要であり、維持修繕の費用の徴収額を抑えてしまう傾向があります。)
お勧め出来るケースとしては、
管理組合が所有し、賃貸し、適正な賃料を設定している場合は、大きな収入源になります。
また、機械式駐車場の構造にも影響してしまいます。
複雑であればあるほど修繕費用が高額になる傾向があり、
単純であればあるほど修繕費用が低額で済む傾向があります。
※なかなか購入前に把握するのは難しいところですが。(中古であれば尚更です。)
これから分譲マンションの購入を検討される方はご参考にして下さい。
では。
<PS>
機械式ではなく、自走式の駐車場はお勧めすることが出来ます。
維持修繕費用もあまり高額にならず、利用する側にもメリットがあります。
機械式のように駐車パレットの移動を待つ必要もなく、危険性も少ないです。
自走式駐車場のマンションは優良物件です。