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【相変わらずの描写力と世界観!完結編でも続編を切望する最高峰の警察小説】ピエール・ルメートルさんの「傷だらけのカミーユ」読了〜感想書評レビュー〜

どうも、くす太です。

 

ピエール・ルメートルのカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ完結編となる3作目

「傷だらけのカミーユ」

を読みました。

シリーズで一貫した犯罪描写のきめ細やかさは本作においても輝いていました。

いうなれば不幸続きのカミーユですが、本作の最後は一体どうなるのでしょうか。(シリーズ完結編なので全体としても最後です。)

ネタバレありありですが、ご紹介します。

 

 

本書の概要

著者はピエール・ルメートルさん日本語訳は橘明美さん

というシリーズを通したコンビです。

 

刑事であるカミーユ・ヴェルーヴェン警部がいかに犯罪に関わり、試行錯誤しながら謎を解いていかに犯人に迫っていくか、逆に犯人がいかに警察を出し抜き、次々と犯罪を犯していくかのいわば<追いかけっこの物語>。

特徴ある登場人物たちに加え、様々な伏線が張られ、物語が進むにつれて一気に展開していきます。

文章も飛びっきりで、風景にしても人の動きにしても犯罪行為にしても、なにもかもながきめ細かに表現されており、単に読み進めるだけで自然に物語の世界に入り込んでいきます。(犯罪行為の部分はあまりにもリアルで少し引いてしまうほどです。)

 

本作の主要な登場人物

カミーユ・ヴェルーヴェン

→頭は禿げかけているが類まれなる洞察力や推理力などの刑事として必要な能力を有する優秀な警部。最大の特徴は身長が低く、150cm以下である。

 

アンヌ・フォレスティエ

→カミーユの愛人。誰もが思わず振り向いてしまう美貌の持ち主。

 

ルイ・マリアーニ

→カミーユの部下の刑事。非常に優秀であり、様々な知識を持っており、何よりもお金持ち。服はいつも高価なブランド品。

 

ジャン=クロード・マレヴァル

→カミーユの元部下。イレーヌ事件の際に犯人とは知らずに捜査情報をリークしており、警察を追われてしまう。浪費家で女好き。

 

ル・グエン

→カミーユの戦友ともいうべき親友の上司。豪快な体型をしており、離婚をしては結婚するという人物。

 

ビュイッソン

→カミーユの妻イレーヌを殺害したシリアルキラー。現在は逮捕されて塀の中にいる。

 

あらすじ

本作はシリーズ2作目である前作の「その女アレックス」 からすぐの物語。

 

イレーヌ事件の後にカミーユは精神疾患のような状態となってしまったが、本作ではアレックス事件後も現場に復帰しているカミーユに、またしてもとてつもない悲劇が襲いかかります。

亡くなった妻イレーヌを一生忘れることはないと思われる中で、それでも付き合う女性アンヌができ、生きる意味を見出しつつあったところ、そのアンヌが不運にも九死に一生を得るというレベルの暴行に遭ってしまい、その後も命の危機にさらされ続けます。

公私混同・職権乱用・虚偽報告などの様々な危険な行為を重ねながら、カミーユは孤独に捜査を続けますが、それでも捜査が進む中でカミーユは犯人に遅れを取ってしまう後手後手の対応となっていきます。

カミーユ・ヴェルーヴェンは愛するアンヌを無事に守り抜き、犯人を捉えることが出来るのか。

 

1日目・2日目・3日目の3部構成の本作。

シリーズを読んでる人にとっては特にですが、後半に物語は急展開を見せて、まさかまさかの結末へと進んでいきます。

 

見どころ

本当に全てが面白く、引き込まれている本書ですが、あえて見どころを挙げていくと、

 

凹みを乗り越えたカミーユ

最愛の妻イレーヌ(カミーユの子供を身ごもっていた)との別れを乗り越え、女性アンヌと向き合っているカミーユが冒頭から描かれており、やっと恋も出来るようになったのだと思っていたところに悲劇が突然舞い込みます。

さらにその悲劇は予想しえない方向を進んでいることが読み進める内に判明していきます。本当に面白い。

 

ビュイッソンと対面 

最も憎むべき相手でありイレーヌ事件の犯人であるビュイッソンと刑務所で対面します。今自分に必要なことを成し遂げる為に戦うカミーユの凄さが感じ取れます。

ビュイッソンに会うまでの用意周到な事前行動、会ってからの交渉という名の命令、カミーユの凄さが十二分に発揮されています。

 

きめ細かな描写・自然とイメージしてしまう 

毎度のことですが、犯罪行為のきめ細やかな描写、文字による物事の描写が飛びぬけて凄い。グロテスクな行為についても精密な描写で思わず頭でイメージしてしまい「うっ!!?」となってしまう程、素晴らしい文章力です。

 

シリーズ3作を通して感じたこと

主人公であるカミーユ・ヴェルーヴェンは非常に優秀な刑事であり、これまた有能な部下たちとともにチームを編成していますが、ことごとく犯人側が優位に物事を進めていきます。

犯人は先に行動を起こす為、当然といえばそうかもしれませんが、犯人を追いかける中で次々に犯罪が起きてしまい、ヴェールヴェン班は諦めることなく犯人を追い続けますが、あと一歩のところでいつも先を行かれてしまいます。

警察の凄さと優秀さが見て取れる反面、犯人の用意周到さ・賢さも見えてきます。

 

シリーズ3作ともにハッピーエンドではなく、バッドエンドともいえる内容ですが、読み終わった時の読了感は重みがあります。

非常に濃厚な警察小説です。 

 

まとめ

シリーズ完結編である本作では、初めてカミーユ・ヴェルーヴェンが犯人を追い越して、見事に逮捕するところが描かれています。

それでもタイトル通りでカミーユにとっては悲劇以外の何物でもなく、悲しい人生だったように思います。

それでも非常に有能で頭のキレるカミーユ・ヴェルーヴェンは愛すべき人物です。

最大の特徴である低身長ですが、それを補って余りある警部としての能力。

 

是非ともシリーズ完結ではなく続編が望まれます。

 

 

では。

 

<PS>

本作品の順番は、

①悲しみのイレーヌ(悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)

②その女アレックス(その女アレックス (文春文庫)

③傷だらけのカミーユ

ですが、日本で翻訳されて発売されたのは「その女アレックス」が初めでした。

その為、「その女アレックス」から読んでしまった方が多いと思いますし、私も同様です。

2作目から読んだが為に「悲しみのイレーヌ」を読んだ時には結末が分かっている状態になっていました。

ですので、これからピエール・ルメートルさんの「カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ」を読む方は是非とも1作目である「悲しみのイレーヌ」から読み始めることをおすすめします。